個人再生のご相談をお考えの方へ
借金の総額が減ることによって返済が可能になるような場合には,個人再生という手続きをご検討ください。
個人再生をおこなうことにより,負債を圧縮して長期間で返済できるようになる可能性があります。
個人再生が認められるかどうか,それによりどの程度金額を圧縮することができるかということは,弁護士にご相談ください。
当法人には個人再生を得意としている弁護士が所属していますので,しっかりと見通しなどをご説明するとともに,手続きがスムーズに進むよう対応させていただきます。
個人再生に関して疑問などがある場合にも,お気軽にご質問ください。
個人再生をするのに必要な費用
1 個人再生とは
個人再生は、現在抱えている借金の額を大幅に減額できることが多く、任意整理では返済できそうもない方や家など財産を残したい方、自己破産はしたくない・あるいはできないという事情がある方にとってかなり有力な選択肢になります。
2 個人再生にかかる費用
個人再生は裁判所を通して行う手続きであり、複雑な資料の準備や裁判所との折衝がありますので、基本的に弁護士に依頼することになります。
そうすると、個人再生にあたっては依頼する弁護士への弁護士費用や実費、裁判所に納める費用が必要となります。
3 弁護士費用について
弁護士費用は各事務所・弁護士によって変わってきますが、たとえば財産状況が複雑であったり、借入先が多岐にわたっており債務状況が複雑であったりすると費用が高額になる傾向にあります。
一般的にはおおむね40~60万円程度となることが多いです。
4 裁判所に支払う費用、実費
裁判所に払う費用としては、収入印紙代、官報掲載費用、郵便切手代、個人再生委員への報酬等があります。
収入印紙代、官報掲載費用、郵便切手代は合計しても数万円程度ですが、個人再生委員への報酬は15万円~20万円程度となります。
5 費用の準備について
上記金額を合計すると50万円以上となってしまうこともあり、一括で準備することは難しいかもしれません。
しかし、この費用は必ずしも一括で準備する必要はなく、弁護士へ依頼して各債権者への返済が止まったあとに分割で支払うことが可能ですので、費用面がネックとなって手続を断念することはないはずです。
6 弁護士法人心へ相談
弁護士法人心では、債務整理の相談を無料で行っています。
また、弁護士がそれぞれ担当分野をもって業務を行っておりますので、個人再生の相談であれば個人再生に長けた弁護士が対応させていただきます。
個人再生を行った場合の費用や、手続を行った場合に返済額がどの程度圧縮されるのか等、まず話だけでも聞いてみたいという方は、ぜひ弁護士法人心までお気軽にお問い合わせいただければと思います。
個人再生の手続きの期間
1 申立て準備
個人再生は、裁判所を利用した法的整理手続きの1つです。
個人再生手続の申立てを行うにあたっては、必要書類の準備が求められます。
財産に関する資料として、一定期間の通帳の履歴、保険証券、給与明細、源泉徴収票、確定申告書、車検証等を準備する必要があります。
例えば通帳の履歴について、横浜地裁では、申立て前1年分の提出を求められています。
このあたりは、個々の財産状況によって変わってきます。
例えば、不動産をお持ちの方の場合には、不動産の時価を査定した資料や登記簿謄本等の提出も必要となります。
また、現在の収入や、家計状況等も報告事項となっていますので、準備には比較的手間や時間を要することになるかと思います。
同時並行して、弁護士費用も準備していただくことが多いです。
期間は、早い方で数か月程度、人によっては半年以上かかることもあります。
2 申立て後
裁判所に申立てを行うと、裁判所の方で申請書類の確認が行われます。
その後、裁判所の方から追加の説明や証拠提出を求められることがあります。
事案の内容ごとに異なりますが、資料の補充等で1か月程度はかかることが多いと思います。
裁判所からの指示等に対応した後、手続開始決定というものが出されます。
内容によっては、開始決定の前に、個人再生委員が選任され、手続に関与することになる場合もあります。
3 開始決定後
開始決定後は、債権額の確定や返済計画案の提出などを行いますが、ご自身で行っていただくものの中で重要なのは、「履行テスト」等と呼ばれる、毎月の返済のテストです。
個人再生の場合は、手続き終了後に各債権者に対する返済が予定されています。
この返済を適切に行えるかどうかの判断をするため、毎月返済予定額を積み立てていくことになります。
案件次第ですが、最低でも数か月間は積み立てを要することになります。
4 認可決定
返済計画案などに所定の数以上の異議が出されなければ、裁判所が返済計画の認可を決定します。
決定は約1か月で確定し、その後は3年ないし5年の期間で、計画に従って債権者へ返済を行っていきます。
個人再生を行うメリットとデメリット
1 個人再生手続きのメリット・デメリット
個人再生手続きは、債務整理の方法の1つとなります。
債務整理を行うこと自体のメリット・デメリットのほか、他の方針と比較した場合の個人再生固有のメリット・デメリット等もあります。
2 個人再生のメリット ~返済総額の大幅な減額~
個々のご事情にもよりますが、個人再生は、総支払額を大きく減らすことができる可能性がある手続きです。
例えば、500万円以上1500万円までの債務については、総返済額は1/5に圧縮される可能性があります。
1500万円の債務がある方の場合、300万円まで減ることになりますので、1200万円もの支払義務が免除される可能性があるということになります。
減額された債務を、原則3年、最長で5年までの間に返済すれば、残債務(上記の例でいえば1200万円)の返済義務が免除される可能性がある手続きということになります。
3 個人再生のメリット ~マイホームを残せる可能性~
住宅ローンを組まれている方で、住宅ローンの支払いや他の債権者からの借り入れ等で生活が苦しくなっている、という方もいると思います。
多重債務に陥っている場合、真っ先に自己破産が思い浮かぶ方もいるかもしれません。
自己破産では、基本的に手持ちの財産となるものは現金化し、債権者に分配することになりますので、高額の財産である不動産は、ほとんどの場合現金化せざるを得ないことになります。
これに対し、個人再生の手続きにおいて、一定の条件を満たしている場合には、住宅ローンの支払いを続けてマイホームを維持したまま、それ以外の債務の減額によって生活再建が認められる場合があります。
4 個人再生のメリット ~資格制限回避~
これは、個人再生と自己破産を比較した場合のメリットになります。
自己破産すると、一部の資格について、一時的に資格制限されることになります。
よく問題とされるのは、保険の募集人や警備員等です。
一時的にせよ資格が制限されることで、現在の仕事ができなくなる可能性があります。
個人再生には資格制限がないため、自己破産をすると資格制限が問題となる場合に、個人再生をすることで生活再建を行う、という場合があります。
5 個人再生のデメリット ~ブラックリスト~
厳密にはブラックリストというリストはないようですが、個人再生をすると、他の債務整理をする場合と同様、信用情報機関に事故情報が登録されることになります。
一定期間新たに借り入れができない、ローンが組めない等の不利益が生じる点は、債務整理をする場合のデメリットの典型として挙げられます。
個人再生をすると返済額はどう変わるか
1 個人再生をした場合の返済額
個人再生手続きは、民事再生法の規定に従い圧縮された額を原則3年、最長5年で計画的に返済を完了することで、すべての債務の返済義務が免除される手続きです。
複数の条件の中から、最も額が大きい分を返済する必要があります。
2 総債務額を基準にした返済額
総債務額を基準とした返済額を規定しているのは、民事再生法231条2項3号及び4号です。
3号は「前号に規定する無異議債権の額及び評価済債権の額の総額が三千万円を超え五千万円以下の場合においては、当該無異議債権及び評価済債権(別除権の行使によって弁済を受けることができると見込まれる再生債権及び第八十四条第二項各号に掲げる請求権を除く。以下「基準債権」という。)に対する再生計画に基づく弁済の総額(以下「計画弁済総額」という。)が当該無異議債権の額及び評価済債権の額の総額の十分の一を下回っているとき。」、4号は「第二号に規定する無異議債権の額及び評価済債権の額の総額が三千万円以下の場合においては、計画弁済総額が基準債権の総額の五分の一又は百万円のいずれか多い額(基準債権の総額が百万円を下回っているときは基準債権の総額、基準債権の総額の五分の一が三百万円を超えるときは三百万円)を下回っているとき」と規定されていますが、一読してすぐには把握できないかと思います。
まとめると、以下のように整理できます。
- ⑴ 総債務額100万円以下の場合は総額のまま
- ⑵ 100万円~500万円までは100万円
- ⑶ 500万円~1500万円までは総債務額の1/5
- ⑷ 1500万円~3000万円までは300万円
- ⑸ 3000万円~5000万円までは総債務額の1/10
なお、総債務額が5000万円を超えてしまうと、個人再生を行うことができません。
3 清算価値保障原則
この原則は、ごく簡単に言ってしまえば、「手持ちの総財産以上は返済しなければならない」というルールです。
財産と聞くと、まずは現預金が思い浮かぶかと思います。
人によっては株式などの有価証券、ご勤務先の持ち株、仮想通貨等をお持ちの方もいると思いますが、それらの時価額が清算価値と評価されます。
また、自宅不動産や車などをお持ちの方の場合、これも清算価値として評価の対象となります。
また、いずれ受け取ることが予定されている退職金について、退職が見込まれない段階では、その1/8を清算価値として評価するものとされています。
また、積み立て型の生命保険に加入されている方の場合、解約返戻金も清算価値として評価されます。
個人事業主の方の場合、未回収の売掛金債権も清算価値として評価されますのでご注意ください。
小規模個人再生の場合、総債務額を基準にした返済額と清算価値のうち、どちらか高い方以上を返済していくことになります。